インターネット広告について考えてみた

インターネット広告市場について、WEB媒体・メディアの人間が考えたことを、とりあえず徒然なるままに書いてみます。

最近のメディア論の盛り上がりについて思うこと

 最近、ほうぼうでメディア論というか、コピペ編集の話やら、色々騒がしくなってきました。

つい先日もこんな本を読みました。

www.amazon.co.jp

 

 もろもろ思うところも多く、ちょっと偏りはある本ではありましたが、1つの真実であることは確かだな、と思って読んでいました。

それにしても、こんなふうにメディアの裏側にフォーカスが当たるようになったのはほんとここ最近な気がします。

 

 先日飲んでいる際にも、「最近メディア論が結構出てくるようになったね」という話をしていたのですが、そこの背景にあるのは、

SEMDSP、DMPなどデマンドよりの技術/トレンドがひと段落

・つぎの盛り上がり(マネタイズ)ポイントをパブリッシャー側に求めた

という点なのかもしれません。

 

いま、流通しているコンテンツは、

 ・ニュースなどの時事情報コンテンツ

 ・役に立つハウツー型の情報コンテンツ

 ・ためになる知識欲充足型の情報コンテンツ

 ・おもしろい、みんなで楽しむコンテンツ

 ・どうでも良いコンテンツ

これが等しく、共通のプラットフォーム上に何のラベリングもなく流れているような状態になっています。

 

どうしてこんな状態になったのか?ちょっと整理してみました。

 

結局、WEBテクノロジーが発達して、だれでも簡単に情報を発信できて、流通させられるようになったから勘違いが起きているだけなんだと思う。


 まだインターネットがないころは、新聞や雑誌の編集・記者って憧れの存在だった。手に職をもった、まさに職人だった。毅然とした態度で、そんなのは書けません、と言っていたものだった。(と僕は認識していた。)


 僕は紆余曲折を経ながらも、そこに興味を持ちまがりなりにもライターになった。(通販雑誌ですが)それが、ブログというPlatformの登場により、日記のような日常の他愛ないことをWEB上にアップできるようになった。これまでは、そういった内容はペンで紙の日記に書いていて、誰の目にも触れることなく、いやむしろ自分の秘密をこっそり書き溜めるような感覚でいたものが、「みんなに見て欲しい」「わかってほしい」「共感がほしい」といった承認欲求や自己顕示欲が強くなっていった。

(※そこでお金を稼ぐという感覚も併せて生まれた)

 

 そのうち、ブログにアップしただけでは、誰も見てくれない(なかなか儲からない)というのを痛感している人たちにの前に、twitterやらFacebookが登場した。とくにこれまでのブログも、なんだかんだいって数百文字とか数千文字とか書いていたのでなかなかな労働だったはずだ(3日坊主体験の人も多いと思う。それが短文で簡単に世の中に発信できるようになったから、だれでも彼でも「特殊な能力」がなくても、ライター気分で情報発信ができるようになった。

 

 人の記事やニュースを引用しては、ちょこっと意見をいうだけの人たちや、どうでもいいくだらない話、それは実話なのか、と疑うような内容(でも注目を集められそうなこと)を書く人など、みんな見てもらいたいから、必死になった。

その結果、まさに玉石混交、有象無象のコンテンツが流通し始めた。

 

 ただ、これはあくまでも状況の話だ。

 旧来型のちゃんと記事を書いているメディアたちが、こうやって変わっていく世の中に対して、手を拱いていたことも事実だ。玉石混交のコンテンツを取りまとめる「スモールメディア」が増えたところで、「どうということはない」と上から見下していたのかも知れない。

ただ、その結果、広告主は増えていないのにスモールメディアばかり増えていき、とはいえユーザー数も広告主数も増加しないので、需要と供給のバランスは完全に崩れた。

 

 運用型広告を取り扱う事業者は取り扱いのimp量を求めて、上述のスモールメディアにも導入を進める。そして、このメディアたちはコンテンツを創らないのでマネタイズを、アドネットワークに頼る。

 こうして供給過多の世界になった上で、どこに掲載されるいるかではなく、人にターゲティングしよう、という話がいいように使われる。ユーザーのマインドは「休息中のスキマ時間」なのにもかかわらず、「保険に入りませんか?」「●●買いませんか?」といったターゲティングバナーが並ぶ。

 そこにクリックを求めても難しいし、コンバージョンなんてなおさらだ。
※もちろん、何もターゲティングしないものよりかは効果あると思いますけど。

 これは「枠から人」というふうに煽った弊害でもある。本来は「リタゲしましょう」と言った言葉ではなかったはずの言葉で、広告業界が次のステージにいくためのフレーズだったはず。各メディアたちも広告主も等しくユーザーを向いてアプローチしましょう、という言葉だったはず。

 広告枠がどうこう、というよりも、その人がある面に訪れているときのマインドを大事にしましょう、という意味だったと思うのですが、額面どおりに受け取った人々による、単純なリタゲが生み出すCTRに狂喜乱舞した人たちがいた。

 

 雑誌や新聞、テレビにはそれぞれ協会が存在し、広告主にも協会は存在しているが、WEBでは、「WEBメディア協会」といったものも存在していないし、間で活動している各種ベンダーや事業者の協会もない。まだまだ業界として若いので、明確なルール・ガイドラインがないことも原因かもしれない。

 

 メディア運営者たちが、その矜持を持ってコンテンツを作り、情報を流通させる側にも同様の矜持を求めたいところである。(矜持だけじゃご飯は食べられないので、どうすればその矜持をもってユーザーとコミュニケーション取れるのか本気で考えないといけないですが)

 

 単純なPVでのマネタイズは、すでに限界を迎えようとしており、ユーザーをだます形でのクリックモデルもいずれ飽きられる。そのとき本質的な価値を生み出せているところが、自然淘汰的に残っていくことになるのだと思う。

 

まとめると、

 

・誰でも彼でも簡単に情報発信できるようになった

・有象無象のコンテンツを取り込んだ簡易メディアが乱立

・メディアの急増により露出面の供給過多により、広告在庫とのアンバランスが発生

・「枠から人へ」を都合よく解釈したひとたちによる、ユーザーのマインドを無視したリタゲ広告の横行

・ユーザーの広告への不快感の上昇。PVだけでのマネタイズの限界。

・クリックさせるために「ネイティブ広告」と銘打って、本質を理解せずに騙し討ちのクリックで短期的収益を生み出しにいく企業群

・規制をするようなパブリッシャー側の協会もなく、統一ルールが不在

 

こうした状況が横行した結果、メディア論が色々と語られる素地が作られたのだと思う。

 

直近の話で、

「メディアの成長×換金効率」という話があり、「1×2」=「2×1」どちらで進むべきか?という話がありましたが、「PV増≠メディアの成長」だと思っている人は、メディアの成長を選ぶのだと思います。

 

では、この先メディアはどうしたらいいのか?

それを分かっていたら、たぶんビジネスでもっと成功していると思うので、明確には言えないのですが、メディアも自社のオーディエンスをもっと理解すべき、という点だけは確かだと思っています。そうすれば創るコンテンツの方向性もわかれば、広告主に対しても、自信をもって自社のメディアの話ができるはずなんですよね。

 

 

#余談ですが、

▼これGunosyの今さっきの人気記事ランキングだが、こういう記事ばかりが増えていく未来を、本当にメディアもユーザーも広告主も求めているのだろうか??

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iMedia Media Summit 2日目レポート

調子に乗ってDay2のレポートも書いてみます。

※とは言え、引き続き文字だけのレポートです。

※量が多くなりすぎてきたので、スポンサーセッションは割愛しちゃいます。

 

感じたポイントがDay1と大きく変わり、

 ・可処分時間を奪い合う時代。それはWEBコンテンツに限らず、

  ゲームもテレビも小説や雑誌、動画全部がちょっとした隙間を奪い合う時代に

 ・メディアではなく、コンテンツ単体が流通する時代。若者は玉石混交のコンテンツから自分が情報を能動的に選ぶことが難しくなり、受動的にコンテンツを受け取るようになってきている

 ・若者は静かに黙って享受していられない。動画もテレビコンテンツもToo Muchな情報。だったら自分も参加できるInteractiveな世界に身を投じていく。

 

▼あとジャストタイミングなポストもあったので勝手に引用。

菅原 健一 - メディアの皆さんに間違えないで欲しい事... | Facebook

 

▼iMEDIA MEDIA SUMMITはこちら

http://imediasummit.jp/media-summit/program/#tab2

 

ブランデッド・コンテンツと新たなマーケティング手法

Speaker:ハースト婦人画報社イブ・ブゴンさん、日本経済新聞社上條さん、三越伊勢丹古川さん、花王石井さん、インフォバーン今田さん

 

 まずは、2015年の展望。

 今年はコンテンツマーケティングの時代。

  ・ブランド企業の参加

  ・戦略の軸となり、自社内でのデータ連携が加速

  ・各社のネイティブ広告等の優劣が明確に

 その上で、世の中の環境はどうなっているのか?

  ・消費者がデジタルで情報接触⇒スマートデバイスのアクセス増加

  ・メディアが乱立し、流通するコンテンツ量が増加

  ⇒ スマホ×大量コンテンツの環境下で、認知発見理解を促すのが困難に

 

 企業から見たコンテンツマーケティングへの取り組みは、

  ・コンテンツは「検索で待つ」⇒「使っていただける」へ変化

  ・店頭だけでは収集出来ない情報(行動理由、非購買理由)をwebで収集

  ・自社の強みを活かして、媒体社にも出来ない情報の発信

  ・世の中に対して、当該分野を企業が語ることによるブランディング

 

 メディアから見た取り組みは、

  ・コラボレーションの一つのスキーム

  ・オーディエンスのための質の高いコンテンツづくり

  ・オーディエンスエンゲージメント

  ・コンテンツづくりをデータ分析と連携させる

  ・その上でのメディアブランドを企業に活用してもらい消費者と接点構築

  ・そのオーディエンスデータを活用

 

 では、企業発のメディアと媒体社のメディアは、どこをどう住み分けるのか?

 

   -メディアを作ることで、自社顧客理解の促進とデータの蓄積をしている。

   -一方で、ContentsMakeのスキルは企業側にはそこまでない(製品への知見はある)ので、そこを媒体社に埋めて欲しい

   -コンテンツが顧客に届くだけでなく、きちんとそれによって動かしたい

 

 聞きながらの所感だが、ユーザーが摂取するコンテンツの量や費やす時間に限りがある中で、企業も媒体社も情報を発信するようになると、双方が協力し合いつつも、実はユーザーの時間の奪い合いをしている状況。それはディストリビューションの方法がTw、FBなどのソーシャル&スマートデバイスが中心なのが媒体社も企業も変わらないから。この中でwin-winになれる形を模索していかないと、単純に企業側コンテンツと媒体側コンテンツで、コンテンツ量が増えるだけになってしまい、より一層ユーザーは情報過多で受け取らなくなっていきそう。

 

 コンテンツマーケティングの指標や今後の展望

 経営視点でいえば、「それでどれだけ儲かったのか?(商品が売れたのか?)」である。が、その前提として届いた情報がユーザーに使用・消費されたのかということが重要になってくる。そこを可視化したい。

「潜在⇒関心⇒顕在」というステップを踏んでいることを明らかにしたい。

 そういう意味では、ブランドリフト調査などが有用。短期間でのブランドリフトは起きにくいので、長期間一緒に動けるパートナーシップを、企業と媒体社は築いていく必要性があるのではないか?

 その視点に立つと、オリエンテーションを軸にした広告づくりは既に破綻しており、必要なデータをチームとして共有し、顧客に価値のある情報を発信するために施策を考える、という体制が必要になってくる。

 

コンテンツパブリッシャーがもたらす価値とは

 Speaker:インフォバーン城口さん、津田さん、手島さん、東洋経済新報社佐藤さん、JBプレス菅原さん

 

 今重要だと感じていることは、

 ・質の高いコンテンツ

 ⇒ 消費者はまだまだ一次情報メディアを信頼している

 ・メッセージングの力

 ⇒ どんなユーザーに、どんなコンテンツを作ればいいのか?

 ・コンテンツの浸透力

 ⇒ それを適切なユーザーに届けること

 

 現在、媒体社は厳しい状況。これまでメディア全体として顧客と向き合っていたのが、記事単体、一本ごとでデジタルの中で消費されてしまっている。広告の視点にたったときも記事広告一本の値段よりも、ディストリビューションの値段のほうが上になっているケースが増えてきた。

 ただやはり、重要なのはコンテンツ。「本質を突いたコンテンツ」は顧客を「創る」ことができる。それをどう可視化していくのか、その必要性がある。

 だからこそ、今までのDataSeller型のDMPでも、CRM型でもなく、コンテンツに寄ったDMPの構築を考えている。 (JBプレス 菅原さん)

 PVやClickではない指標。もし仮にそれをレポートしないのであれば、何をもって広告主に納得してもらうことができるのか、そんな視点でメニューを考えている。

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日本の動画配信、ビジネス環境の課題と将来への挑戦

Speaker:AOLプラットフォームズ橋本さん、T-MEDIAホールディングス櫻井さん、HJホールディングス船越さん

 

 そもそも「動画元年」という実感がない。これからNetflixがやってきたとしてもすぐではない。会員数で動画視聴の成長感を語っている時点でやや違っていて、会員数はプロモーションによってある程度動かすことができるのだから。「月額定額制サービス」だってまだまだ根付いていない。

 ただ視聴時間は伸びてきている。スマホ普及が後押しかと思いきや、huluはTVで視聴されている。それもそのはずでテレビ用のコンテンツ、映画用のコンテンツ、それぞれ、どのデバイス(テレビなら家のテレビ、映画は映画館)で見られることを前提に作られており、一番楽しめるデバイスで視聴しているだけのこと。スマホで映画やテレビを見ているのは十二分にそのコンテンツを楽しめていない可能性。

 実際にどんなシチュエーションで見ているのかといえば、テレビを見そうな時間帯。つまりテレビを見る時間に面白いもの、興味のあるものがなくて動画で時間を消費している状態。可処分時間の奪い合いをしているだけ。

 動画市場の日本特有の課題として、TV⇒動画にスライドするメリットを感じられていない。(だからこそ旧態依然としている部分があるのかな?)一方でユーザ-側も「何が見たいか明確にはわからない」「探すのが大変で見つからない」という状態。

 ⇒ レコメンドの必要性がほんとうに高い領域である。

 Netflixが日本に来ることによって、多くの消費者が動画サービスを認知し、結果としてマーケット全体が活性化するのではないか?まだまだ認知啓発の段階であることを強く感じた。

 

ユーザーに愛されるオンラインビデオ・コンテンツとは?

Speaker:フジテレビジョン下川さん、ディー・エヌ・エー前田さん、日本テレビ太田さん、スクー森さん

 

 自分は「SHOWROOM」というサービスを知ってはいても、ちゃんと見たことがなかったのですが、回遊を生み出す仕組みや参加する演者に気持よくなってもらう仕掛けが堪らない。日本人は個人を特定されて趣味を見られるのを嫌うし、だからこその匿名性という部分もオーディエンスはアバター化して参加とかなり考えられた作りになっていた。

 その「SHOWROOM」が描く未来が、単なる覗き見番組(失礼な言い方になってますね)ではなく、海外を含めて夢を実現したい人への応援したくなる投げ銭的Platformを考えていることに激しく共感。

 テレビ番組もSocialの盛り上がりを意識した作りをするようになってきているけど、一方でSocialを意識しすぎたりしてなかなか変革を起こしきれないでいる。そろそろテレビの伝統的なフレームワークを壊して再構築する時期に来たのかも?とのこと。

 一方でテレビは1分単位視聴率を見ながら、番組の構成や内容を適宜変更しチューニングし続けている。むしろネットよりも細やかなのかもしれない。

 スクーさんも単なるe-ラーニングなだけでなく、ユーザーはここに来れば学べる、企業も必要なスキルを持った人材はスクーから輩出されるという形を作ろうとしている。

 

 こうしてコンテンツをしっかり作っているところにお金が落ちず、「ハコだけサービス」の人たちが儲かる仕組みはどうなのか?という警鐘とともに、コンテンツを作ることのこだわりが感じられた。

 テレビ番組なんていうのはその最たるもので、15分のコーナーのために1日を費やし、例えばグルメ番組でお店紹介するときは、お店にお客がしっかり入ってからレポートを始めたりする。これは取材先にも気持ちよく、視聴者もガランとした店内よりもテンションがあがり、とみんなが待っている絵がそこにあるから。だからそこを愚直に作っている。

 そういうのをただ集めて楽して儲けようとするのはどうなんでしょうかね。。。

 とはいえ、作りこんだからと言って、絶対的なヒットコンテンツを作ることは難しいので、

 「サプライヤーの作りたいもの」⇔「ユーザーの見たいもの・求めているもの」

 をつなげてそのコンテンツの効果・結果をしっかり検証しながら、昇華させていく必要があるんですよね。 

 

一次取材 VS コピペ編集

Speaker:博報堂ケトル嶋さん、ユーザーベース佐々木さん、マガジンハウス西田さん

 

 嶋さんから大胆な発言が多く飛び出したセッションだった。

 「うんこみたいな編集をしている一部のネットメディアについて語りたい」といって始まったが、中身はものすごい本質の話だった。

 どこの誰かもわからないような人の編集コンテンツ、それがサクッと他人のコンテンツをかっさらって、PV作ってマネタイズを図ろうとする。何が本質なのか?

 食べログのランキングも、もちろん判断の基準がないときなどは重宝するけど、それよりシェフのこだわりとか一時取材だから手に入る情報って、深さが全然違う。

 PVを追うことを止めたニュースピックス。DAUでメディアを追い、メディアのブランドを作っていく。だから今の時代と逆行するかのように、Yahoo!などへのコンテンツ提供を行わない姿勢。

 

 話を聞きながら、多くのメディアがPVを追い求め(それはアドネットワークに依存していたり、メディアの成長規模の指標になっていたからなのだが)、各デリバリー系のPlatformに迎合するかのように必死にコンテンツを拾ってもらおうと四苦八苦している状態に一石投じるセッションと感じていた。そんな状態ではコンテンツを作っている一次メディアにファンがつかず、ブランドも出来ず、結局他人の力でマネタイズをしているので未来がしんどい。とはいえ単体メディアで閉じていくのも、ユーザー接点を作りにくい、どうするんだ、これからのメディアは?と問題を投げかけてくれた、と思う。

 

そこでのヒントは、

 西田さんが仰られた「クロワッサンって雑誌がでたときに、みんな『パンじゃねーか』って言っていたが、広がってしまえば大丈夫だった。」という部分なのかも。

 ブランドを作るっていうのは、ネーミングから始まっているし、それを社会に浸透させること。コンテンツ単体では浸透も何もない、というかたぶんユーザ-の目にメディアは止まっていない。PV至上主義というかPVによる換金から脱却しないといけない、という意味で、メディアは旧来型のマネタイズから次のステップへ移るタイミングが来たのかもしれません。

 

2020年、そしてその先、メディアはどう変わっていくのか。

Speaker:堀江貴文さん、日本経済新聞・渡辺さん

 

●インターネット情報サイトは有料課金できるのか?

 日経電子版も40万人の有料会員、ホリエモン.comも月額1万円払う600名がいる。 

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※イメージとしては、ユーザーはこんな分布かな?

それぞれにちゃんとしたメリット提供を作れるのか、という話があれば課金はできるのではないか?こうした購読料を取れるメディアが強くなる。それはちゃんとユーザーをつかまえているから。

 

●スキマ時間の活用が勝負を分ける。

 「トイレに入った30秒」「寝る前の15分」「電車の移動中の10分」こうした隙間時間にいかに入り込むか?そう考えると、テレビも動画や雑誌もToo Muchなコンテンツ。WEBサイトもログインをさせたり何かさせると面倒でやりづらい。シームレスにサクサク快適に短時間で摂取できないといけない。

 若者はじっと待っていることができない。ストレートプレイの芝居を2時間も黙ってみていられない。だったら自分も参加できる「リアル脱出ゲーム」のようなInteractive性を求める。

 

●最後に

刺激的に感じたのは、堀江さんが仰った「僕は5年後の世界をイメージして、あえて極端に行動している」という話。自分の想像の限界かもしれないが、2-3年後はイメージできても5年後はあまりイメージできていないのが正直なところかもしれない。堀江さんのイメージが合っている・合っていないという話なのではなく、そこをイメージしながら日々を行動することで、ビジネスチャンスを早くから感じ取れると思う一方で、周りが同じ世界を見えていないから、コミュニケーションが難しいのだとも感じた。

 

もっと刺激的な話も多かったDay2の各セッションですが、空気感がうまく伝えられないですね。執筆能力高めます。

 

 

iMedia Media Summit 1日目レポート

せっかくのMedia Summitなので、いつもは書きませんが、

レポートを残しておこうと思って今回は書いてみます。

※とは言え、レポート苦手なので、完全に自分のための備忘録として。

※写真って載せていいのか分からないので、というか自分が登壇しているときは、あまりブログとかで載せられるのが好きではないので、今回は文字だけのレポートです。

が、文字だけだと、全体の7%くらいしか伝わらないらしい。。。というのも今日知りました。

 

感じたポイントとしては、

 ・動画広告への期待値の大きさ。しかしまだ期待値のまま。いくつかの事例はあるが全体の流れにはなっていない。ユーザーの視聴態度はできてきている。

 ・スマートフォン時代。これまでのメディアの作り方、運営の仕方では対応できない

 ・大事なのはコミュニケーション。ユーザーに参加してもらう余地が必要。

 

▼iMEDIA MEDIA SUMMITはこちら

http://imediasummit.jp/media-summit/program/

 

[Opening keynote]The Future of Media -メディアの未来-

Speaker:Cindy Gallop

IfWeRanTheWorld, MakeLoveNotPorn
創立者 / 代表取締役

CindyのKeynoteには途中から参加だったので、うまく聞き取れていない部分もありますが、気になったのは下記の3つの言葉。

(1)Share Value +Share Action

 ※もう一つ「Share~」があったと思ったのですが聞き取れませんでした。。。

(2)Data informed,Female informed

(3)The Past:Collaborative Competition

 The Future:Competitive Collaboration

 

伸びるメディアの思想と、最新テクノロジー

Speaker:スマートニュース松浦さん、LINE田端さん、ターゲッティング:藤田さん

 

 田端さんの、「コンテンツ」「広告」「コミュニケーション」の境目がなくなり、融合が進んできているという話に激しく同意。TVCMとLINEスタンプとを活用した、1stスクリーン、2ndスクリーン化によりFrequencyを高めていく思想もその通り。

 WEBだけで、テレビだけでのFrequencyではなくて、オンライン、オフライン通じてのFrequencyがこれから肝になってくると思った。

 また、コンテンツを届けるだけでなく、届けたものを、どうアクション(コミュニケーション)してもらうか、という発想にこれからは益々なってきている。

 ●いままで:コンテンツを作り、待つ時代

 ●いま  :作ったコンテンツを積極的に流通・ディストリビューションさせる時代

 ●これから:コンテンツが届いた先でさらに、コンテンツを用いてコミュニケーションをはかってもらう時代

 なのだということ。

 

スマートフォン時代のメディアのマネタイゼーション

Speaker:オープン8高松さん、丸山さん

 

 「TVリーチ<スマホリーチ」の現在。期待はあるけど、効果がまだわからないし、

メディアも露出面を作っておらず、面が限られている状態。

 <クライアントニーズ>   <メディアニーズ>  

    リーチ        スマホの早期収益化  

    完視聴率       単価下落へ歯止め   

    画面占有率      ユーザビリティ    

 ⇒ 両社なかなか歩み寄りきれず、動画時代がなかなか広まらない。

 ⇒ そこでのOPEN8での広告マネタイズモデルでは、

   女性系のプレミアムメディアを繋いで、ターゲットリーチを作り、

   オーバーレイでしっかり視聴させる環境づくりをしている。

  ※広告は広告と割りきってのスタートを切った状態。

  

 

メディア・マネタイゼーション:課金か?広告か?それとも第三事業なのか?

Speaker:ブライトコーブ北庄司さん、日経新聞・町田さん、テレビ東京・蜷川さん

     Open8高松さん

 

・メディアを作り運営するのはコストがかかる。今のようにPlatformが出てきている中、自社メディアを持ち続ける意味はどこにあるのか?

・TVや新聞を読まなくなった若い世代に、どうやってプロモーションしていくのか?

・社内におけるデジタルの理解度の必要性

 

クロスデバイス・クロスチャネル・クロスボーダー時代のあるべき動画プラットフォームとは?

 Speaker:アドビ小沢さん

▼AdobePrimeTimeで動画コンテンツ配信に必要な要素はみんな押さえられるという話。

 (1)マルチデバイス・マルチチャネル対応

 (2)著作権管理

 (3)最適な動画に最適なADを自動判別

 (4)動画配信エンジン

 (5)視聴動向分析

 (6)データ管理

 

 

“Made-for-Mobile” でゼロから考える動画広告 – MixChannel の事例を中心に

Speaker:ファイブ菅野さん、Donuts福山さん

 

動画広告について、実はこの話が一番自分の頭を整理することができた。

聞きながら整理したのは下記の3つ。

 (1)動画広告は音声がなければ威力半減

    基本的なWEBサイトは音声アリ状態で見られるサイトになっていないので

    動画を挿入しても音声がONになっていないことがしばしば。

  ⇒ ・字幕をつけて音声がなくても伝える(動画のメリットが減少)

    ・そもそもの視聴態度を作ってから配信する必要性(動画メディア構築の難易度)

 (2)読み込み速度・通信wifi環境

    動画が再生されようとする際、通信環境によってはモッサリ感満載に。

    事前に読み込んでおくなど、サクサク感・ぬるぬる感が大事。

 (3)動画だってABテストの対象になれる

    つい動画広告は、完パケ入稿イメージが強く、コスト面からテレビの流用も

    止むを得ないと思っていましたが、動画広告でもアジャイルなクリエイティブを作っていく体制・仕組みは構築できる。

 

スマホはコンテンツの文法を根底から変える!

Speaker:東洋経済・山田さん、サイバーエージェント宮崎さん、狩猟社イセさん、LINE谷口さん

 

・PCサイト運営が母体のメディアは、SP版を作ろうとするとPCの機能を全部持って行こうとする。そうではなく全部持っていかずに、SPブラウザ版やアプリ版で必要な要素だけを持って構築する。

・使ってもらう、シェアしてもらうコンテンツ

 ⇒ ユーザーに突っ込む余地を残す

・テレビと連動させての情報発信

・SPとPCでは距離感が違う⇒文体もPCとSPでは分けるべき

 ⇒テレビ、新聞は企業寄りに対して、SPはユーザ寄り  

・SPは眺め読みでもわかる作りを。ページ分割はユーザー的に面倒。

 ⇒ 超短いか超長いコンテンツ。スマホだと細く長く、ダラダラ読まれる設計も可

 

とりあえず1日目のまとめでした。

また明日も色々と学びたいと思います。

 

2015年、個人的に気になるマーケティングツールを7つ上げてみた

4月に入って、2015年度も新しいサービスが次から次へと出てましたね。

 

 自分も人事異動やら何やらで、4月はバタついてブログが滞っておりましたので、

改めてこっそり気になるサービス群をまとめてみました。

 

(1)Kenshoo

今までちゃんと理解していなかったのですが、リスティングでの広告実績を元にして、ソーシャル上でのプロモーションの最適化をはかったりと、マーケティングでは

欠かせないチャネル同士をつなげてくれる存在になりそう。

markezine.jp

 実際のデモを見させてもらいましたが、確かに有効そうな気がしました。

 

(2)App Analytics

【速報】AppleからApp Analyticsのお知らせ! Beta版 | Sawalog

まだちゃんと見ていないのですが、この方のブログによると、

こんなことができるようになる、みたい。

 

  • 各アプリのAppStoreのPVとCV、CVR(ダウンロード率)が分かる
  • 追跡SDK無しでAppStoreのカスタムリンクが作れるから、どこ経由のDLなのか数字で分かる
  • ユーザーがアプリをどれぐらいの時間、開いているかが分かる
  • Webサイトからのリファラが分かる
  • アプリの継続率も分かる?

 

 もし本当なら、これでPDCAがまた違う形で回りだしそうですね。

 

(3)FULLER「App Ape Analytics」

アプリのデータってなかなかとれないものですが、他社のアプリのDAUやMAU、インストール数の推移や性別・年齢データまで類推してくれます。

どうやって取っているんでしょうか、このデータって???

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App Ape Analytics - 気になるアプリの情報がまるわかり!

 

(4)ジオロジック

 今年は勝手にジオデータが熱いのではないかと思っています。IoTの話も含めて、そこここでデータが取得される一方、タイミングを見て情報を発信する、というタイミングの最適化が起きるのだとすれば、ジオデータは確実に必要な要素になると思います。

www.exchangewire.jp

(5)ユーザーローカル「Media Insight」

自社のメディア、そして他のメディア290媒体が、TwitterFacebookといったソーシャルメディア上でどのぐらいバイラルに拡散・反響しているかを調査可能。記事別ランキングで上位の記事と、自社の記事とを比較することで、競合媒体の成功パターンを把握することが可能です。

 複数のメディアのバズ状況データを自動収集することで、いまインターネット上でどんな話題が広がっているかも把握できます。(HPより抜粋)

media.userlocal.jp

(6)WACUL「AIアナリスト」

人工知能「AIアナリスト」は、Google Analyticsアクセス解析データと連携することで、人間では集計困難な大量データを分析し、サイト内の課題を自動的に発見する。さらに課題のパターンごとに、改善方針まで自動で提案する。対応する業種・サイトは現状180種類に及び、長く使うほどに機械学習によって提案力が強化されていく。(プレスリリースより)

wacul-ai.com

(7)アドフリくん

 各社がアプリをリリースするほどに、マネタイズのために実装する広告枠が面倒になってきますね。ちょっと何かしようと思ったら、複数アプリを展開している場合、1つ1つ修正のアップデートを行う必要もあったりします。

アドフリくんのSDKを入れておくだけで、複数アプリでの広告枠を一括管理して作業工数を大きく減らしてくれます。

app-review.jp

 

うーん、もっとありそうですが、直近気になっているのはこの辺りでしょうか。

本当はYahoo!さんのDMPが一番気になっているんですが、それはもうちょっと触ることができてから話がしたいなーと思っています。

ネイティブ広告のガイドラインが発表された件を受けて

先週、3月18日にJIAAより、「ネイティブ広告に関するガイドラインを策定」した、という発表が出ました。

 

 色々な人がこのニュースを受けて、情報を発信しています。スマートニュースも自社のサイトの中で取り上げて、自分たちは遵守していくことを表明したり、一方で「メディアの情報が広告だらけになる」とか「これまでやっていたことができなくなる」などの、ネガティブな発言をしている人もいるようですが、実はとてもシンプルな内容で、当たり前のことしか言っていないと私自身は思っています。

 

それは、

「消費者を騙したり嘘をつくのではなく、真摯に向き合う広告プロモーションを」

ということ。

 

私自身も、本ガイドラインの策定に少なからず関わってきましたので、改めてどんな内容になっているのかを、かいつまみながら、私の解釈とともにお話できればと思います。

 

まず、そもそもガイドラインを作るに至った背景は、たった一点だと思っています。

それは、

「消費者がインターネットの情報を信頼していない」

という由々しき問題があります。

 

↑ メディアの信頼度(「全部信頼できる」+「大部分信頼できる」)(2013年)

*1

 

なんでテレビ、新聞と比べてこんなにもインターネットは信用されていないのか?

それは先日も楽天市場さんのニュースが出回っているように、ステマと呼ばれる企業名を名乗らずに宣伝をする手法が横行しているからにほかなりません。

この状態を重く受け止めているのと同時に、「ネイティブアド」と呼ばれる広告手法が、さも新しいもののように米国から上陸してきたことにともなって、

「これが今話題のネイティブアドですよ」と言って、平然とステマを勧める事業者も出てきていることを受けて、こうしたガイドラインが策定されたと思っています。

 

上記の背景を受けているため、策定の骨子はただ一点。

「消費者に誤解をさせない、健全なマーケティング手法の流通」を支援するものだと思っています。

 そうしないと、

  消費者が情報を信用しない

   ⇒ 消費者のアクションがインターネット経由では起こりにくくなる

    ⇒ WEBプロモーションの効果が減少

     ⇒ WEB広告費の減少

      ⇒ ユーザーに価値ある情報も届かなくなる

  という形で、媒体・企業・消費者の3者アンハッピーになってしまいます。

 

では、今回の策定のポイントを3つばかり。

(1)ネイティブ広告の定義

(2)広告表記および広告主体者の明示について

(3)ネイティブ広告に関する推奨規定

 

(1)

 色々な企業がネイティブ広告を騙っていたり、これまでのタイアップ広告や記事広告と混同していたり、本質ではない議論があったのを一旦整理しています。

 「デザイン、内容、フォーマットが、媒体社が編集する記事・コンテンツの形式や提供するサービスの機能と同様でそれらと一体化しており、ユーザーの情報利用体験を妨げない広告を指す。」

 とあるように、ユーザーの体験を阻害しないものであると定義しています。

これまでのGif+テキ広告と変わらないんじゃないか?という話もありますが、それは枠の仕様としては変化がないのかもしれませんが、これまで広告枠と編集枠がしっかり分かれていたものが、かなり近しいポジションになっているというのがこれまでとの違いになります。

記事広告も同様のポジションで捉えられているのも一目瞭然です。

見た目だけのデザイン型であっても、内容を含むコンテンツ型であっても、ネイティブ広告ですよ、と定義づけたわけです。

 

(2)

 上述のように、編集枠と広告枠の区別がつきにくくなると、ユーザーが「情報だと思ってクリックしたら、資料請求ページに飛ばされた」など、意図していないページへの誘導をさせる行為が増えて来ていました。

 クレジットの表記などがあったとしても、それが分かりにくかったり、ひどいところになると、そもそものクレジット表記をしていないところもあります。

 広告事業者の中には、「ネイティブ広告なんだから、ノンクレジットで展開してください」などと言ってくる困った人もたまにいますが、そういったものを一切認めない姿勢として、クレジット表記を必須にしています。

 さらに、「インターネット広告倫理綱領及び掲載基準ガイドラインに追記をされた事項として、下記のテキストが追加されました。

 

「消費者が容易に広告の目的であると認識できる必要がある。[関連リンク]、[おすすめ]等の広告であ ると認識しづらい表示は避けるべきである。」

 

これによって、編集導線にはない表記をしているからいいでしょ、と免罪符のように使っていたキーワード群が「分かりづらいもの」とされたのです。

※これはこれまでの媒体運営者にとっては、大きくこれまでと変えなければいけないものになるかもしれません。

ただ、広告出稿をいただいている枠(タイアップページ自身も含む)には、きちんと広告主の明示をすることが、以前から規定されていましたが、改めてネイティブ広告だろうとなんだろうと、ちゃんと守るように、と明言されたわけですね。

 

(3)

 最後に、細かく媒体社、プラットフォーマー、広告主、配信事業者ごとにADの表記のルールが明示されました。

 実はここが一番悩ましい部分かもしれません。

 これまで媒体社は、自社で展開するタイアップページへの誘導導線には、PR表記をつけているケースとつけていないケースがありました。

 これは広告枠として定義付けている枠にはきちんと表記がありましたが、編集導線にシステム上の問題で導線が表示されるケース(例えば新着などの自動更新ものなど)は、ユーザビリティ上の問題で表記を出していない箇所がありました。

 しかし、今回のルールでは媒体社内部へのタイアップページへの誘導導線であっても、特別な技術上の制約がない限りは、【PR】や【AD】などの表記をするような推奨規定が設けられています。

 

 媒体社は広告タイアップページであっても、媒体社のメディアポリシーに則り、当該メディアの切り口・価値観で消費者に価値ある情報を届けようとしています。そのため導線には広告と編集枠の区別をしていないところがまだまだ多数あるのですが、、、

 

実際、過去にアンケート調査を行った際に、とあるメディアのタイアップページいくつかを「広告のように感じることはあるが、役に立つ情報だと思う」と答えた方が多かったりしますので、このあたりがこれからきちんと整備していく必要がありそうです。

 

どちらにせよ、これによって「ステマが増える」とか「ルールが引かれたおかげで広告記事が増える」という話ではなく、消費者に真摯に向き合う第一歩であると思っています。

改めて、今回のガイドラインの策定を機に、媒体運営者の方々は、消費者の方に信頼されるメディアになれるよう、より一層の努力をしていってほしいと思います。

※どこかが抜け駆けでガイドラインを守らずに、自由に展開したら、インターネットメディア全体がユーザーから信頼を失ってしまうんだ、という位の気持ちでやっていきたいものです。

 

深刻になってきたwebビュー問題

自社サイトの流入経路が2年前と大きく変わってきました。

 

以前は検索流入が大半を占ていたが、facebookのようなソーシャルメディア、Smartnews、Antennaといったキュレーションメディア、naverまとめやヤフーさんなどからの外部リンク=参照流入と呼ばれる種別の流入が増えてきている現状があります。

 

消費者とのコンタクトポイントが拡大していることは喜ばしいこと、と好意的に捉えています。

実際、コンテンツを展開するのであれば、自社に来てもらうのを待つのではなく、

積極的に外海に出て行って、接点を構築していくことが必要な時代になったのだと思っています。

 

SEOだけでコンテンツのtrafficは成り立たなくなってきていることは、周知の事実だと思います。(SEOを疎かにしていいわけではなく両輪必要っていう話ですが)

 

ただ、一方でそういった流入は、あくまでも各社のアプリの中でのアプリ内viwer=webビューによって作られていることは余り意識されていないと思います。(かく言う自分もそこまで意識できていませんでした)

 

ただ、ここに来てその事実が着実に影響を及ぼすことがわかってきました。

webビュー上ではリターゲティング広告が効かないのです。(これは広告マネタイズを担当している人には大きい話ですね)

 

これまで、PCとSPはデバイスをまたぐので、Cookieを共有することができないことや、ブラウザとアプリもcookieを共有できないことはある程度知られていると思います。

webビュー(=よくあるパターンは、ヘッダー・フッターがアプリの仕様のまま遷移しているwebブラウザページ)も同様で、cookieがまた更に別の人間として判断されているのです。

 

つまりSP版では、同一の人物が行動していても、

 ・WEBブラウザの閲覧者

 ・アプリ閲覧者

 ・webビュー閲覧者

 の3人の人間として、システム上は判定されているのです。

 

これまではAndroidCookie使えるけど、iOSは使えないんだよね、と言っていただけでしたが(それもIDFAやAd_IDなどで解消の兆しがありますが)、実は、Androidであっても、WEBビューで開いた途端に、ブラウザで判定し保持していたであろうユーザーも別の個人になってしまうのです。

 

この事象により、アプリによってコンテンツをデリバリーすることでページビューを伸ばしたとしても、コンテンツプロバイダーの収益はそこまで伸びてこない。1PVが作り出す収益が同等ではなくなってきているのです。(だいたい1/3~1/4くらい。それだけターゲティング広告が市場の中でベースになっている証拠でもありますが。。。)

 

コンテンツマーケティングなどの流行もあり、企業が自身のコンテンツを積極的に各メディアにデリバリーすることは大事なことですが、そこでランディングしたときはまた更に別のCookieとしてカウントされることを認識した上で展開していく必要がありますね。

Googleをはじめ、各技術会社が、webビューでの閲覧であったとしてもcookieを保持していく仕組みができるかもしれませんが、まだ先のようです。

 

誰か、アプリ内からのviewであってもターゲティングできるような仕組みをご存知でしたら教えていただきたいと思います。

(ユーザーの方は意識していないのですが、広告配信で収益を上げている人は、それも踏まえて今後どうするか考えていく必要が出てきていますね)

 

 

メディアの収益性を左右するActive viewという考え方

 これまでとメディアの広告収益の作り方が大きく変わろうとしているのを、最近つよく感じます。

 

 これまでは「広告表示枠数を増やす」ことで収益を伸ばすメディアが多かったと思います。とくにデスクトップは表示エリアが広いので上部にバナー、右カラムにバナー、記事下にバナー、フッターにバナー、テキストの合間にも広告リンク、と入れられるところには一様に入れているメディアが多かったと思います。

 とくに一時期は収益性が高いとメディア担当者に話題になり、記事下にダブルでバナーを配置するメディアが増えました。

 

たしかにimp量はPVと違って、ある程度まではメディア側のチカラで増やすことはできますから、当時においては有力な施策だったと思います。

 

 ただ、その風向きが変わろうとしています。

 例えばGoogleの管理画面上には、各枠のActive view率が見えるようになり、枠としての価値が可視化されるようになりました。今はまだテスト段階だと思うのですが、Active viewをフィルタにして申し込みができるようになる日が近づいていると思います。またPMPなどのPrivateな取引でも枠位置などの情報も踏まえて、取引が行われるようになってきます。

 こうなると、これまではどの枠に出ているかは関係なく広告表示されていた世界から、ちゃんと見られているものに出稿する、という世界へと変化していき、むしろ余り見られていない枠をもっていることが、メディアにとってマイナスの評価になっていくことになります。

 

 広告主サイドから見れば、ある意味当然の話で、ユーザーから見られてもいない枠に広告が出ていて、そのimpでCPM課金された日には、効果が合わないと思うのも道理です。これをちゃんと制御できるような時代が来ている、という話です。

 

 では、これからはメディアはどうなるのか、というと、コンテンツと同じようにちゃんとユーザーに広告枠が視認されていることが重要になる、ということです。

 ネイティブ広告や動画広告が多くの広告主の興味を引いているのも、このユーザーの視認性という部分への期待が大きいからだと思いますし、事実その視認性は従来のバナー群とは段違いです。

※ヒートマップ系のツールを入れてみると一目瞭然だったりします。 

 

 従来はベストだと思っていたメディアのサイトデザインは、2カラムもしくは3カラムで、右カラムの上部にバナーがあるデザインでした。ただ、Active Viewを見てみると今までのデザインは課題があるのかもしれません。その背景にはスマートフォンユーザーの増加が影響していると思われます。

 スマートフォン縦読みする動きにユーザーが慣れてきたのと、一般的なPCが16:9の比率でディスプレイがあるため、横にデザインが広がったことを受けて、ユーザーが意識して見る目の動きが、本文エリアを縦読みする動きになってきたのだと思います。

 そのため、一部のメディアでは記事本文内にバナー表示されているものや、記事本文タイトルの下に、本文とバナー枠を持つようなサイトが徐々に増えてきました。これはこうしたユーザーの目の動きを意識した、広告配置をいち早く始めているメディアなのだと思われます。

 

 ここからは予測ですが、これからのメディアは、不要な枠を思い切って切り捨てて、本文コンテンツの動きと広告をシームレスに掲載するようになってくるのだと思います。

 ただそれだけだと、広告をうるさく感じてしまうユーザーが増加してしまい、むしろメディア離れが進んでしまいますので、広告の内容と見ているコンテンツの内容とが違和感なく表示できているか、ユーザーにとって有益な関係性のある広告が出ているか、広告表示量は適切かといった視点が重要になって来るのだと思います。

 

 メディアの運営担当者も、これまで定説のように作っていたメディアづくりから、ユーザーの目線の動き、広告主側が見えるようになったレポート内容などを把握して、新しいメディアづくりをする必要があるのかもしれません。