インターネット広告について考えてみた

インターネット広告市場について、WEB媒体・メディアの人間が考えたことを、とりあえず徒然なるままに書いてみます。

データ活用、まずは地に足つけてデータを見ることから

 一昨年くらい前からでしょうか、DMPの活用やビッグデータ時代ということで、「データを使ってもっと効率は上がらないか?」とか「データを使えばもっと色んなことができるんじゃないか」といったことを言われます。

 実際、データを使うことで、今まで見ることができなかった「新しいことが見える」のだと思います。ただ、目的もナシにビッグデータだから、DMPだから何かできる、というのは間違いだと感じています。

 そしてビッグデータやDMPってなんだか難しそう、って思われてしまうのも、この新しいことができる、という部分のせいだとも感じています。

 実際にこのデジタルの時代において、そんな奇抜な新しいことではなく、これまで個別にできていたことを結び付けられるようになったことだけでも、凄いことなんだと思っています。

 

 僕自身もデータに対して何かできることはないか、ということで、一昨年からJIAAさんのWEB広告研究会の中にある、Bigdata委員会に参加させていただきながら、どんなことができるのかを色々考えてきました。

 

 もう1年前のセミナーになってしまうのですが、下記のセミナーの内容がいまだに一番しっくり来ているので、改めて記載をします。

 

公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会 「広告出稿量は売上に本当に影響しているのか? シャンプー&ペットボトル茶のデータ分析実践例」2014年2月21日開催月例セミナーレポート(1)

 

公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 Web広告研究会 「データから戦略は生まれない、花王・キリン・NECが明かすデータドリブン・マーケティングの現状」2014年2月21日開催月例セミナーレポート(2)

 

このレポートのまとめでも記載されていますが、

「それぞれの会社にそれぞれの課題があるが、共分散構造分析のような構造化された分析まで行かなくても、まずはさまざまなデータにアクセスできるようにして時系列で見ていくことは、ぜひ明日からでもやってみてほしい。時系列のグラフもかなり工夫をしていて、正規化で単位を合わせるなどの調整をしているが、グラフから仮説を発見してアクショナブルに何かを始めることが重要。」

という、まさにこの感覚が重要なのだと思います。

 

普段、「表」で見ている数字たちを、ひとつの「グラフ」の中に「時系列」で落としこむだけで、少しデータ同士の関連性が見えてきて、施策を打つ仮説が浮かび上がってくると思うんです。そのアクションの結果に基づいて、次の施策を考えていく、そういうPDCAをいかにスピーディに回せるか、あとは相関関係や因果関係にあたるインジケーターを捕まえられる勘所をいかに養っておくのか、がデータの時代にはとても重要なのだと思います。

 

 さらに時系列でデータを落とすときに、自社単体で持っているデータでは限定的なことしかわからない。そこに外部の3rdPartyのデータやオープンデータを組み合わせることで、違うことがわかったりする。つまりどんな目的をもって、どんな仮説でデータを見るのか、その見たいデータのために、どんな情報が必要なのか、こういったことをイメージして行う必要がある。 それなのに、「とりあえずDMPあれば、何でもできるんでしょ?」というのは大きな間違いだと思いますし、「分析やってみて何か見つけて」というのもかなり無茶ぶりなことだと思ってしまいます。

 

 簡単に言っていますが、こんな風に考えるようになったのも最近のことで、ああでもない、こうでもない、とこねくり回している中でシンプルなところに帰着しているので、やっぱり、きちんと自分たちの保持しているデータと向き合って、まずは自分たちのデータで活かしていくことが必要なんだと思っています。

 

 ついつい色々なデータが取れるようになるので、新しいことをやりたくなってしまいがちですが、足元のデータをまずはちゃんと扱えるように、そして社内にどんなデータが取得できていて、何は取得できていなくて、それをいつでも取り出せるようにして、いつでもつなぎあわせて考えられるようにしておく。

 まずはそうしたことからはじめることが、データ活用の遠回りに見えて近道なんだと思います。

 

 こうして自分たちの取得しているデータの足元を整理した上で、既存の事業・サービスに付加価値をもたらすには、こんな活用ができるとかこのデータがあると〇〇ができる、という形で拡大するのもいいし、全く新しい新規事業を立ち上げるのも良いと思う。全ては自分たちがちゃんと活用できてから、だと思うのです。

トライアルをするなら振り切ってやらないとダメなのでは?

 何かのテストを行うときに、各所調整をして、色々承認をとってどうにかテストをする、なんてことありますよね?

 他には効率ばかりを追い求めて、新規のチャレンジに臆病になって想定範囲内のテストしかできないなんてこともありますよね。

 

 でもこれ、僕はまったくテストになっていないと思うんです。

 

 テスト開始の時点から、各所との折衷案を展開していますから、本当の意味での効果を図ることができない。もっと言えば、その状態での変化でジャッジするのはミスジャッジを呼ぶ原因にすらなっていると思うんです。

 しかも大きな変化に臆病になっていると、思い切ったチャレンジができない、つまりは新しい示唆を得ることが出来ないと思うんです。

 

 僕がこう考えるようになったのは、前職の通販カタログの編集時代の経験が影響しています。その経験というのは、当時の上司から教わっていた2つの方針。

 

1つ目は「量」「コスト」「質」

 「量」

 「コスト(=効率)」

 「質」

 毎号カタログを発行するたびに、この3つの方針でグルグル回していました。

 

 通販カタログにおける「量」は、ページ数や掲載する商品点数や発行部数。

 とにかくページ数を多くする。

 とにかく載せる商品は多くする。

 発行部数も、RFM分析してメインのところだけではなくて、休眠顧客とかかなり幅を広げて送付対象にしていました。

 

 次の「コスト」は逆に、ページ数や掲載商品数、発行部数を絞り込んで、1部あたりの売上を最大限にすることに意識をおいた戦術。

 掲載する商品も利益率の高いものを優先したり、送付する対象顧客も優良顧客のみに絞り込むなど徹底的に効率重視。

 

 そして最後の「質」。紙質にもこだわるし、商品も品質重視。コピーライティングに関しても、1商品に対して割くページの割合を増やして写真も増やして展開する。

 

 こうやって、それぞれの施策を振りきって行うことで、仮説に対する検証がやりやすくなると同時に、振り切っている分、サイクルが回るたびにちょっとずつ全体の精度があがっていきました。

 

今、WEBに関わるようになって、立場も出てくると、上記のような思い切った戦術が取れなくなって、折衷案で仕事をすることが昔に比べて増えたな、と反省することもしばしば。

 

2つ目は「2:6:2」の法則

 よく、「2:8」のパレートの法則がありますが、これの応用版です。

 通販カタログ時代は、

 「上の2」は、優良商品、優良顧客。ここで伸ばすぞという注力ポイント

 「中の6」は、平均商品、平均顧客。最低限の数字を見込む安定ポイント

 「下の2」は、チャレンジ商品や掘り起こし顧客。将来を見据えた開拓ポイント

 こんな風に区分けして、ひとつのカタログの中で、ひとつの企画の中で常に検証を続けていました。

 

 ここで大事なのは「下の2」。DSPでの配信の話やリターゲティングの話は「上の2」ばかりにフォーカスを当てている状態。やっぱりどんどん疲弊していってしまいますよね。内部施策も当たり前の施策ばかり行っていると、手詰まりがすぐに来てしまいます。

 

 昔は自分の標準思想だった、「量・コスト・質」や「2:6:2」と言ったモデルから、立場や仕事内容が変わるにつれて、全体バランスを考えるようになっていき、チャレンジングなことが減ってきてしまっている。

 この考え方が絶対だ、とは思っていませんが、バランスを意識して小さくまとまるようでは、自分にとっては由々しきことだな、と思います。

 

 やっぱり「失敗は成功のもと」と言うように、チャレンジして失敗して、そこから得られたことを活かす。それがPDCAだと思います。

 PDCAを回す、というのは成功を積み重ねていくイメージの人もいると思いますが、失敗を恐れないで、すぐにロールバックしたりクリエイティブを変更できるのが、紙とネットの大きな違いでもありますから、どんどん振り切った施策を試していけるようになりたいですね。

 

PMPを始めとするプログラマティックな取引は今年どうなる?

昨年から「PMP=Private Market Place」の話を伺うことがだいぶ増えてきました。

実際に、PMPやPrivateExchangeをはじめ、色々な取引形態が一気にやってきたので、頭が少し整理できていなかったのですが、プラットフォームワンさんがまとめてくれていたので、これを参考に、今日はプログラマティックな取引が今年どうなるのか、今どうなっているのかをちょっと整理したいと思います。

 

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※ プログラマティックと自動取引 -媒体社の視点から- | プラットフォーム・ワン より

まだまだオープン制オークション取引がRTBの基本となっている中で、PMPやPrivateAuctionといった招待制のオークションが出てきました。

 

ちゃんと面を分かった上で出稿主の納得の行く金額でオークションビットを行う。媒体側も自分たちがオープンオークションで受け入れるのとは違うので、自分たちの求める最低単価を設定して展開する。

 

こういう意味では、どちらも納得をした金額での取引になるので、今年はPMPの市場は広がると思っています。(オープンオークションとの単純なCPCを比較するのではなく、獲得効率=CPAなどを追い求める場合であっても、この媒体からは獲得できる、というのがわかっているのであれば、納得できる損益分岐点での入札が可能ですから。)

実際に日本ではGoogleをはじめ、RubiconやPubmaticなどの海外産のPMPが上陸したりと、最近活発になっているのはこの形態の取引だと思っています。

 ただ、まだまだ日本のパブリッシャーがRubiconやPubmaticと接続ができていなかったり、DSP各社も売り込んでいる最中ということで使用している人が少ないことが、活性化していない最大の要因だと思っています。

 媒体側、出稿主側両方の理解が増していくこと、また海外産のSSPだけでなく、純国産の各SSPPMP的な機能を作り、DSP側に媒体面の指定入札機能が連携するようになっていく、この2点が揃うことで、拡大の準備は整ってくると思います。

 

 一方で、先日PlatformIDさんがリリースされた、Automated Guaranteed形態がどうなるのかが、興味があります。


Platform ID、プログラマティック・ダイレクトを活用したターゲティング広告配信スタート:MarkeZine(マーケジン)

 

純広告のオートメーション化、という捉え方をしているのですが、もうちょっと違うかもしれません。ただ、純広告がアドネットワークに取って代わられた「安価」に「大量リーチ」を「一定のターゲティング」に対して行えるという利点に対して、「Premium」な面にリーチできてブランド毀損を起こさない、という点がどこまで立ち向かえるのか?純広告で行えていた世界からアドネットワーク中心の世界に慣れてしまったマーケッター達が、どこまで違うものとして認識できるかがポイントになると思っています。

 

それもこれも「枠から人へ」という言葉が効きすぎてしまったことが原因だと思っていますが、今揺り戻しとして、「枠から人へ、でも枠はやっぱり重要」というところに立ち返っているのだと思います。

 

分かりやすい例を出すと、このブログを読んでいる人に、LPOツールやアナリティクスツールの広告が出ているのは、「枠」と「人」がマッチしている状態です。ところがブログを離れて、サッカーアジアカップの結果ページを見ているときは、「人」は合っていますが、見ている時のマインドが違いすぎるので、「枠」のアンマッチが起きている。

 

この部分に立ち返って、やっぱり面と人でターゲティングをかけよう、という行為がどこまで効果・効率に跳ね返ってくるのか?手間暇やコストとのバランスや、直接以外の指標をどこまで見ることができるのか、など多くの視点が変わる必要があるのだと感じています。

 

結果的に、出稿主が満足し、媒体側も満足できる関係性が、両社にとっての最適値なのだと思っていますので、不当に単価が引き上がるのも、引き下げるのも良くはないですよね。

 

媒体社も「単価が上がるのであれば、どの事業者を使っても一緒」という考え方から、自社の一枠ごとの価値を見なおして、最適な価格帯をイメージしていくとともに、広告主、エージェンシー、トレーディングデスク等と情報を共有し、どのくらいの単価が適性なのか、効果はあっているのか、といった部分を一緒に最適化を図っていくくらいの取り組みが必要になってきているのだと思います。

(Aカテゴリでは効果がこういう結果になったから、Bカテゴリで試してみるのはどうか?といったPDCAを回すための仮説が立てられる)

 

そういう意味でも、これまでの受け身な姿勢で配信される案件を待っている状態から、出稿主と一緒に、自社のどの面のどんなユーザーに広告を刺すことで、どんな効果が得られるのかを一緒に考えていけるパートナーシップを組んでいくことが大事なのかもしれません。ラクして高収益と考える人には、今はまだ向かないかもしれないですね。

 そう考えると、Private系の取引がはオートメーション化するどころではないですね。現時点の導入段階では、これまで以上にアナログな、人と人の取り組みになる、その意識が拡大のための最大のキーワードになる、そんな2015年になるような気がしています。

 

「ネイティブアド」や「コンテンツマーケティング」について

 昨年から、「ネイティブアド」や「コンテンツマーケティング」について、「どう考えています?」と聞かれることが多くなりました。

 実際、2015年の予測の中でも、コンテンツが重要視される、と自分自身でも言っていますので、まさに今話題のキーワードなのだと思っています。

 

 正直、呼び方はそこまで意識しておらず、あくまでも「ユーザーファースト」で、ユーザーに価値のある情報を届けられるのであれば、そこは気にしなくていいのではないか、と思っています。

 ただ一方で「ネイティブアド」という言葉を盾にして、ユーザーを不快にさせている広告がチラホラ見受けられる気がしています。

 

 僕の方で、勝手に分類しているネイティブアドの考え方は下記のようなマトリクスになっています。

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※ネイティブ広告を、枠の話とコンテンツの話とで混合して話しているケースがあり、それがよくある誤解の原因だと思っていますので、解釈で混合しないように分けている、というのがこの分類の意図です。「コンテンツ型~」って別に記事広告と呼ばれていいと思っています。

 

 ネイティブ広告のよいところであり、かつ注目されている理由は、上のマトリクスにあるように、デザインシームレスな点。つまり「媒体の一部に溶け込んでいるデザインだから、ユーザー体験を阻害しない。さらにこれまで広告をクリックしてきたようなユーザーとは違うユーザーにアプローチできる」点なんだと思っています。

 

実際に、ネイティブ広告は新規ユーザーの獲得率がこれまでよりも高い結果が出ていることが多いようです。

 

ここまでは問題ないと思っています。ただ、デザインを溶けこませていれば、なんでもいいでしょ、と言わんばかりに、記事コンテンツのフィードの中に、記事と思わせておいて、エントリーページへ誘導をはかったり、アプリのインストールページに誘導させるものがあったりします。この「記事と思わせておいて」が問題なので、行く先がアプリのインストールページだと分かっていれば、ユーザーも不快にはなりません。

 

 ここは媒体の方も、自分たちの媒体が何を載せているどんなメディアなのか、ユーザーは何を期待して来訪しているのか、その期待とネイティブ広告のLPは合っているのか、といったところまで気にかけて欲しいと思っていたりします。媒体側がちゃんとしていれば、そぐわない広告は自然と淘汰されてくるはずです。

 そうしないとすぐにユーザーに嫌われて、むしろ媒体のイメージ悪化につながりかねません。そうなると引き続き「広告は嫌なもの」というイメージから逃れられなくなってしまいそうです。

 

 ▼広告は嫌なものではないよ、というのはこのあたりにまとまっているかと。


Amazon.co.jp: 広告なのにシェアされるコンテンツマーケティング入門: 谷口マサト: 本

 

 また、上記の本のタイトルにも使われている、「コンテンツマーケティング」についても問題が起きているように感じています。

 あくまでもコンテンツなので、商品やサービスのことを言わないようにしよう、という動きがあるのですが、そうしているうちに、マーケティングの目的までも遠くなってしまって、何がしたい記事なのかわからなくなっているケースがあるように感じます。

 読者にコンテンツを読んで(見て)もらって、何を感じて欲しいのか、感じた結果、どうなってほしいのか、といった部分が重要なわけで、それもなく、単純に話題に登ることやリーチ数だけ求めてしまっても、バズったけれど、何にもつながっていない、なんてことにもなりかねません。

 一本の記事コンテンツだけで空気感を作ることは難しいと思いますので、それぞれの場での役割をもたせ、一本のストーリーを作り上げられるくらいになってはじめて、コンテンツによるマーケティングはできるのではないか、と思っていたりします。

 こうした目的を失ってしまった記事コンテンツが作られる一方で、SEO目的のために、価値の薄い記事コンテンツを大量に生成している例も見受けられます。

 似たような記事を複数作ったり、wikiなどの内容をただつなげるだけだったり。これも読んでくれたユーザーの方に何を届けたいのか、というのを置き去りにして、ただリターゲティング用のCookieを溜めたいだけだったり、とにかくSEO順位をあげたいだけだったり、と、ユーザーのことを向いていないコンテンツマーケティングもどきだと思います。メディアをやる、コンテンツを作るというのは、こうしたユーザーと向き合うことが全てなんだと思います。

 

 以前にセミナーに出させていただいた時に、「コンテンツマーケティングにとって大事なことは何か?」という話になった際に、皆さんが口を揃えて「ユーザーファースト」と答えていましたので、その方向に向かっていくのが当たり前であり、健全なのだと思っています。

 

 

2015年のインターネット広告市場がどうなるかを考えてみた

既に、多くの記事があがっていますが、

自分なりにも2015年のインターネット広告を、メディアの視点から考えてみました。

 

(1)3P時代、純広告とネットワーク広告の境がなくなる

(2)動画コンテンツの重要性が増し、視聴者を抱えたメディアが伸長

(3)本格的なデータ活用時代、自社データの把握・整理が喫緊の課題に

(4)企業がコンテンツを作る時代、WEBメディアはオリジナリティが鍵に

(5)各種ウェアラブル機器による新しいメディアの形が生まれる

 

と、5つにまとめてみました。1つずつ説明していきます。

 

(1)3P時代、純広告とネットワーク広告の境がなくなる

 これまでは、広告が入っていない「空き枠」をいかにマネタイズするか、という視点でネットワーク広告を運用されてきた方が多いと思います。

確かにこれまではそうでしたし、だからこそ、“サブ”的な扱いをして「とりあえずGoogleで」という考え方で行っていても一定の収益を作ることができたと思います。

 ただ、これからは「Programmatic」領域に対応しないと収益を増やすことができなくなる時代になってきました。2014年、Rubicon ProjectやPubmaticなどの「Private Market Place(以降PMP)」の海外ベンダーが続々と日本上陸を果たし、Googleも日本でのPMPを推進。電通も名乗りを上げるなど、これまで純広告の取引とは別の取り組みだったネットワーク広告市場に、純広告的な考えが入ってきます。

 そこで重要なのが「Premium」な媒体であること。ユーザーをしっかり抱え込んだ媒体でなければ、そして企業のブランドイメージを毀損しないメディアでないと広告出稿はできません。

 そして、最後にその取引が「Private」で行われていくということ。これまでネットワーク広告には「アドベリフィケーション」の考えから、なかなか手を出してこなかった、優良企業が上述のような仕組みが整ったことを契機に、管理しやすくデータも一元で見られるため、ネットワーク広告への取り組みが増すと思われます。そこには、海外のメーカーも多く存在しており、自社の紹介文などの英語対応が必須になってきます。

 今までのような「空き枠」として、という考えから、前述の3P、「Programmatic」「Premium」「Private」の3つを理解し各プラットフォーム事業者との対応をして、純広告のような取引形態をしていく。さらには海外のメーカーにも視野を広げるなど、まったく違う時代に突入してきた感じがあります。

 

(2)動画コンテンツの重要性が増し、視聴者を抱えたメディアが伸長

 動画コンテンツの重要性は2014年にも語られ、もう十分に伝わっているかもしれません。ただ、これはテキストコンテンツ時代にもありましたが、動画広告の収益を得るために、情報価値の薄い動画を用意したり、視聴数を稼ぐために“釣り”タイトルでユーザーを誘導するような動画コンテンツが増えそうです。一時的にはそういったサイトにも動画広告が表示されることもあると思いますが、ユーザーが価値が薄いと感じたコンテンツはやはり視聴者が離れていきます。そうして、ちゃんとユーザーを抱えて、動画視聴をするマインドをもったメディアが残っていくでしょう。

 

▼下記のような気合の入った動画コンテンツが残っていってほしいものです。


迷惑メールを実写化してみた - デイリーポータルZ:@nifty

 

(3)本格的なデータ活用時代、自社データの把握・整理が喫緊の課題に

 前述の(1)や(2)でもユーザーに支持されることや、優良なユーザーを抱えることを言っていますが、そもそも自社メディアに訪れているユーザーをちゃんと把握できているメディアがどこまでいるか、現時点では甚だ疑わしい限りです。2012年頃から始まったDMPブームも、一旦落ち着き始め、ついに活用フェーズにきたと感じる中、こうした自社ユーザーの把握や、自社の保有データの特徴を整理することで、次の打ち手が見えてくると思われます。

 

▼DMPプレイヤーのまとめ


国内DMPプレイヤー | RTB SQUARE

 

 保有データの可視化とその活用ができる企業とできない企業の差によって、大きく開きが出てくる年になりそうです。

 

(4)企業がコンテンツを作る時代、WEBメディアはオリジナリティが鍵に

 2014年のインターネット広告業界の流行語といえば、「コンテンツマーケティング」か「ネイティブアド」ではないでしょうか?

 「ネイティブアド」にはまだまだ解釈が色々ありますので、ここでは言及しませんが、どちらにせよ、「コンテンツの重要性」が語られた一年だったと思います。その動きを受けて、企業側が自社サイト内にコンテンツを格納していくモデルでの「オウンドメディア」が増えてきました。従来の「企業サイト」と違い、自社製品の話をするためのブランドサイトではなく、消費者とのつながりを作ろうとする取り組みで、多くの企業が情報サイト顔負けの内容を展開し始めました。

 さらにスマートニュース、Antenna、Gunosyといったキュレーションメディアが台頭し、ユーザーの情報の取得方法が、「検索を使った能動的なモデル」から「アプリからのまとめを読む受動的なモデル」に変わってきています。

 こうなると、より大事になってくるのは、各メディアの発信する情報のクオリティ。どのメディアでも同じ情報なのであれば受動的な情報収集で構いませんが、そのメディアならではの切り口や扱うネタなど、それぞれのメディアのオリジナリティにファンがつき、そのファンに向けてのメッセージは、そのメディアならではの切り口が必要になる、といった形で、新しいメディアとユーザーの関係性が構築されていく事になると思います。

 

(5)各種ウェアラブル機器による新しいメディアの形が生まれる

 最後に、2014年もスマートフォンによって、アプリによるコミュニケーションが一般化したように、2015年もバンド型のものやグラス型のものなどの各種ウェアラブルな機器がどんどん市場に登場していきます。今はまだゲームなどの世界かもしれませんが、オキュラスなどのVR(Virtual Reality)も出てきており、新しい形でのユーザーコミュニケーションが一般化しはじめるかもしれません。

 こうした新しいハードに対して、どこがどのようなコミュニケーションを取るか、新しい市場が生まれる兆しはそこにありそうで、そこは「インターネット広告」という括りではない世界になっていると思います。

 

とまあ、好き勝手に今年の想像をしていますが、とにかく足元をしっかりやりながら、妄想を妄想のままにせずに、色々とチャレンジしていければと思います。

 

 

Blogはじめました

2015年が始まったということで、今までやろうと思いながら手を出していなかったことに着手してみようと思います。

 

その一つが「情報発信」

「情報発信」は、これまで講演で話したり、Facebookなどでたまに発信することがあったものの、感じていることや思っていることを、ちゃんと書き溜めてこなかったので、改めてBlogという形式でやってみようと思います。

 

もう一つが「英会話力向上」

「英語力向上」は、2014年かなりの頻度で英語による商談に出ることも増え、今後ますます対応に迫られることが明白なのと、さきの「情報発信」がアウトプットなら、インプットのために、海外サイトをちゃんと自分なりに読めるようになろうと思った次第です。

 

拙い文章ですが、どこかの奇特な方が読んでくれるかもしれませんので、

自分なりの視点で色々と書いていければと思います。