インターネット広告について考えてみた

インターネット広告市場について、WEB媒体・メディアの人間が考えたことを、とりあえず徒然なるままに書いてみます。

トライアルをするなら振り切ってやらないとダメなのでは?

 何かのテストを行うときに、各所調整をして、色々承認をとってどうにかテストをする、なんてことありますよね?

 他には効率ばかりを追い求めて、新規のチャレンジに臆病になって想定範囲内のテストしかできないなんてこともありますよね。

 

 でもこれ、僕はまったくテストになっていないと思うんです。

 

 テスト開始の時点から、各所との折衷案を展開していますから、本当の意味での効果を図ることができない。もっと言えば、その状態での変化でジャッジするのはミスジャッジを呼ぶ原因にすらなっていると思うんです。

 しかも大きな変化に臆病になっていると、思い切ったチャレンジができない、つまりは新しい示唆を得ることが出来ないと思うんです。

 

 僕がこう考えるようになったのは、前職の通販カタログの編集時代の経験が影響しています。その経験というのは、当時の上司から教わっていた2つの方針。

 

1つ目は「量」「コスト」「質」

 「量」

 「コスト(=効率)」

 「質」

 毎号カタログを発行するたびに、この3つの方針でグルグル回していました。

 

 通販カタログにおける「量」は、ページ数や掲載する商品点数や発行部数。

 とにかくページ数を多くする。

 とにかく載せる商品は多くする。

 発行部数も、RFM分析してメインのところだけではなくて、休眠顧客とかかなり幅を広げて送付対象にしていました。

 

 次の「コスト」は逆に、ページ数や掲載商品数、発行部数を絞り込んで、1部あたりの売上を最大限にすることに意識をおいた戦術。

 掲載する商品も利益率の高いものを優先したり、送付する対象顧客も優良顧客のみに絞り込むなど徹底的に効率重視。

 

 そして最後の「質」。紙質にもこだわるし、商品も品質重視。コピーライティングに関しても、1商品に対して割くページの割合を増やして写真も増やして展開する。

 

 こうやって、それぞれの施策を振りきって行うことで、仮説に対する検証がやりやすくなると同時に、振り切っている分、サイクルが回るたびにちょっとずつ全体の精度があがっていきました。

 

今、WEBに関わるようになって、立場も出てくると、上記のような思い切った戦術が取れなくなって、折衷案で仕事をすることが昔に比べて増えたな、と反省することもしばしば。

 

2つ目は「2:6:2」の法則

 よく、「2:8」のパレートの法則がありますが、これの応用版です。

 通販カタログ時代は、

 「上の2」は、優良商品、優良顧客。ここで伸ばすぞという注力ポイント

 「中の6」は、平均商品、平均顧客。最低限の数字を見込む安定ポイント

 「下の2」は、チャレンジ商品や掘り起こし顧客。将来を見据えた開拓ポイント

 こんな風に区分けして、ひとつのカタログの中で、ひとつの企画の中で常に検証を続けていました。

 

 ここで大事なのは「下の2」。DSPでの配信の話やリターゲティングの話は「上の2」ばかりにフォーカスを当てている状態。やっぱりどんどん疲弊していってしまいますよね。内部施策も当たり前の施策ばかり行っていると、手詰まりがすぐに来てしまいます。

 

 昔は自分の標準思想だった、「量・コスト・質」や「2:6:2」と言ったモデルから、立場や仕事内容が変わるにつれて、全体バランスを考えるようになっていき、チャレンジングなことが減ってきてしまっている。

 この考え方が絶対だ、とは思っていませんが、バランスを意識して小さくまとまるようでは、自分にとっては由々しきことだな、と思います。

 

 やっぱり「失敗は成功のもと」と言うように、チャレンジして失敗して、そこから得られたことを活かす。それがPDCAだと思います。

 PDCAを回す、というのは成功を積み重ねていくイメージの人もいると思いますが、失敗を恐れないで、すぐにロールバックしたりクリエイティブを変更できるのが、紙とネットの大きな違いでもありますから、どんどん振り切った施策を試していけるようになりたいですね。