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インターネット広告について考えてみた

インターネット広告市場について、WEB媒体・メディアの人間が考えたことを、とりあえず徒然なるままに書いてみます。

ネイティブ広告のガイドラインが発表された件を受けて

先週、3月18日にJIAAより、「ネイティブ広告に関するガイドラインを策定」した、という発表が出ました。

 

 色々な人がこのニュースを受けて、情報を発信しています。スマートニュースも自社のサイトの中で取り上げて、自分たちは遵守していくことを表明したり、一方で「メディアの情報が広告だらけになる」とか「これまでやっていたことができなくなる」などの、ネガティブな発言をしている人もいるようですが、実はとてもシンプルな内容で、当たり前のことしか言っていないと私自身は思っています。

 

それは、

「消費者を騙したり嘘をつくのではなく、真摯に向き合う広告プロモーションを」

ということ。

 

私自身も、本ガイドラインの策定に少なからず関わってきましたので、改めてどんな内容になっているのかを、かいつまみながら、私の解釈とともにお話できればと思います。

 

まず、そもそもガイドラインを作るに至った背景は、たった一点だと思っています。

それは、

「消費者がインターネットの情報を信頼していない」

という由々しき問題があります。

 

↑ メディアの信頼度(「全部信頼できる」+「大部分信頼できる」)(2013年)

*1

 

なんでテレビ、新聞と比べてこんなにもインターネットは信用されていないのか?

それは先日も楽天市場さんのニュースが出回っているように、ステマと呼ばれる企業名を名乗らずに宣伝をする手法が横行しているからにほかなりません。

この状態を重く受け止めているのと同時に、「ネイティブアド」と呼ばれる広告手法が、さも新しいもののように米国から上陸してきたことにともなって、

「これが今話題のネイティブアドですよ」と言って、平然とステマを勧める事業者も出てきていることを受けて、こうしたガイドラインが策定されたと思っています。

 

上記の背景を受けているため、策定の骨子はただ一点。

「消費者に誤解をさせない、健全なマーケティング手法の流通」を支援するものだと思っています。

 そうしないと、

  消費者が情報を信用しない

   ⇒ 消費者のアクションがインターネット経由では起こりにくくなる

    ⇒ WEBプロモーションの効果が減少

     ⇒ WEB広告費の減少

      ⇒ ユーザーに価値ある情報も届かなくなる

  という形で、媒体・企業・消費者の3者アンハッピーになってしまいます。

 

では、今回の策定のポイントを3つばかり。

(1)ネイティブ広告の定義

(2)広告表記および広告主体者の明示について

(3)ネイティブ広告に関する推奨規定

 

(1)

 色々な企業がネイティブ広告を騙っていたり、これまでのタイアップ広告や記事広告と混同していたり、本質ではない議論があったのを一旦整理しています。

 「デザイン、内容、フォーマットが、媒体社が編集する記事・コンテンツの形式や提供するサービスの機能と同様でそれらと一体化しており、ユーザーの情報利用体験を妨げない広告を指す。」

 とあるように、ユーザーの体験を阻害しないものであると定義しています。

これまでのGif+テキ広告と変わらないんじゃないか?という話もありますが、それは枠の仕様としては変化がないのかもしれませんが、これまで広告枠と編集枠がしっかり分かれていたものが、かなり近しいポジションになっているというのがこれまでとの違いになります。

記事広告も同様のポジションで捉えられているのも一目瞭然です。

見た目だけのデザイン型であっても、内容を含むコンテンツ型であっても、ネイティブ広告ですよ、と定義づけたわけです。

 

(2)

 上述のように、編集枠と広告枠の区別がつきにくくなると、ユーザーが「情報だと思ってクリックしたら、資料請求ページに飛ばされた」など、意図していないページへの誘導をさせる行為が増えて来ていました。

 クレジットの表記などがあったとしても、それが分かりにくかったり、ひどいところになると、そもそものクレジット表記をしていないところもあります。

 広告事業者の中には、「ネイティブ広告なんだから、ノンクレジットで展開してください」などと言ってくる困った人もたまにいますが、そういったものを一切認めない姿勢として、クレジット表記を必須にしています。

 さらに、「インターネット広告倫理綱領及び掲載基準ガイドラインに追記をされた事項として、下記のテキストが追加されました。

 

「消費者が容易に広告の目的であると認識できる必要がある。[関連リンク]、[おすすめ]等の広告であ ると認識しづらい表示は避けるべきである。」

 

これによって、編集導線にはない表記をしているからいいでしょ、と免罪符のように使っていたキーワード群が「分かりづらいもの」とされたのです。

※これはこれまでの媒体運営者にとっては、大きくこれまでと変えなければいけないものになるかもしれません。

ただ、広告出稿をいただいている枠(タイアップページ自身も含む)には、きちんと広告主の明示をすることが、以前から規定されていましたが、改めてネイティブ広告だろうとなんだろうと、ちゃんと守るように、と明言されたわけですね。

 

(3)

 最後に、細かく媒体社、プラットフォーマー、広告主、配信事業者ごとにADの表記のルールが明示されました。

 実はここが一番悩ましい部分かもしれません。

 これまで媒体社は、自社で展開するタイアップページへの誘導導線には、PR表記をつけているケースとつけていないケースがありました。

 これは広告枠として定義付けている枠にはきちんと表記がありましたが、編集導線にシステム上の問題で導線が表示されるケース(例えば新着などの自動更新ものなど)は、ユーザビリティ上の問題で表記を出していない箇所がありました。

 しかし、今回のルールでは媒体社内部へのタイアップページへの誘導導線であっても、特別な技術上の制約がない限りは、【PR】や【AD】などの表記をするような推奨規定が設けられています。

 

 媒体社は広告タイアップページであっても、媒体社のメディアポリシーに則り、当該メディアの切り口・価値観で消費者に価値ある情報を届けようとしています。そのため導線には広告と編集枠の区別をしていないところがまだまだ多数あるのですが、、、

 

実際、過去にアンケート調査を行った際に、とあるメディアのタイアップページいくつかを「広告のように感じることはあるが、役に立つ情報だと思う」と答えた方が多かったりしますので、このあたりがこれからきちんと整備していく必要がありそうです。

 

どちらにせよ、これによって「ステマが増える」とか「ルールが引かれたおかげで広告記事が増える」という話ではなく、消費者に真摯に向き合う第一歩であると思っています。

改めて、今回のガイドラインの策定を機に、媒体運営者の方々は、消費者の方に信頼されるメディアになれるよう、より一層の努力をしていってほしいと思います。

※どこかが抜け駆けでガイドラインを守らずに、自由に展開したら、インターネットメディア全体がユーザーから信頼を失ってしまうんだ、という位の気持ちでやっていきたいものです。