iMedia Media Summit 2日目レポート
調子に乗ってDay2のレポートも書いてみます。
※とは言え、引き続き文字だけのレポートです。
※量が多くなりすぎてきたので、スポンサーセッションは割愛しちゃいます。
感じたポイントがDay1と大きく変わり、
・可処分時間を奪い合う時代。それはWEBコンテンツに限らず、
ゲームもテレビも小説や雑誌、動画全部がちょっとした隙間を奪い合う時代に
・メディアではなく、コンテンツ単体が流通する時代。若者は玉石混交のコンテンツから自分が情報を能動的に選ぶことが難しくなり、受動的にコンテンツを受け取るようになってきている
・若者は静かに黙って享受していられない。動画もテレビコンテンツもToo Muchな情報。だったら自分も参加できるInteractiveな世界に身を投じていく。
▼あとジャストタイミングなポストもあったので勝手に引用。
菅原 健一 - メディアの皆さんに間違えないで欲しい事... | Facebook
▼iMEDIA MEDIA SUMMITはこちら
http://imediasummit.jp/media-summit/program/#tab2
ブランデッド・コンテンツと新たなマーケティング手法
Speaker:ハースト婦人画報社イブ・ブゴンさん、日本経済新聞社上條さん、三越伊勢丹古川さん、花王石井さん、インフォバーン今田さん
まずは、2015年の展望。
今年はコンテンツマーケティングの時代。
・ブランド企業の参加
・戦略の軸となり、自社内でのデータ連携が加速
・各社のネイティブ広告等の優劣が明確に
その上で、世の中の環境はどうなっているのか?
・消費者がデジタルで情報接触⇒スマートデバイスのアクセス増加
・メディアが乱立し、流通するコンテンツ量が増加
⇒ スマホ×大量コンテンツの環境下で、認知発見理解を促すのが困難に
企業から見たコンテンツマーケティングへの取り組みは、
・コンテンツは「検索で待つ」⇒「使っていただける」へ変化
・店頭だけでは収集出来ない情報(行動理由、非購買理由)をwebで収集
・自社の強みを活かして、媒体社にも出来ない情報の発信
・世の中に対して、当該分野を企業が語ることによるブランディング
メディアから見た取り組みは、
・コラボレーションの一つのスキーム
・オーディエンスのための質の高いコンテンツづくり
・オーディエンスエンゲージメント
・コンテンツづくりをデータ分析と連携させる
・その上でのメディアブランドを企業に活用してもらい消費者と接点構築
・そのオーディエンスデータを活用
では、企業発のメディアと媒体社のメディアは、どこをどう住み分けるのか?
-メディアを作ることで、自社顧客理解の促進とデータの蓄積をしている。
-一方で、ContentsMakeのスキルは企業側にはそこまでない(製品への知見はある)ので、そこを媒体社に埋めて欲しい
-コンテンツが顧客に届くだけでなく、きちんとそれによって動かしたい
聞きながらの所感だが、ユーザーが摂取するコンテンツの量や費やす時間に限りがある中で、企業も媒体社も情報を発信するようになると、双方が協力し合いつつも、実はユーザーの時間の奪い合いをしている状況。それはディストリビューションの方法がTw、FBなどのソーシャル&スマートデバイスが中心なのが媒体社も企業も変わらないから。この中でwin-winになれる形を模索していかないと、単純に企業側コンテンツと媒体側コンテンツで、コンテンツ量が増えるだけになってしまい、より一層ユーザーは情報過多で受け取らなくなっていきそう。
コンテンツマーケティングの指標や今後の展望
経営視点でいえば、「それでどれだけ儲かったのか?(商品が売れたのか?)」である。が、その前提として届いた情報がユーザーに使用・消費されたのかということが重要になってくる。そこを可視化したい。
「潜在⇒関心⇒顕在」というステップを踏んでいることを明らかにしたい。
そういう意味では、ブランドリフト調査などが有用。短期間でのブランドリフトは起きにくいので、長期間一緒に動けるパートナーシップを、企業と媒体社は築いていく必要性があるのではないか?
その視点に立つと、オリエンテーションを軸にした広告づくりは既に破綻しており、必要なデータをチームとして共有し、顧客に価値のある情報を発信するために施策を考える、という体制が必要になってくる。
コンテンツパブリッシャーがもたらす価値とは
Speaker:インフォバーン城口さん、津田さん、手島さん、東洋経済新報社佐藤さん、JBプレス菅原さん
今重要だと感じていることは、
・質の高いコンテンツ
⇒ 消費者はまだまだ一次情報メディアを信頼している
・メッセージングの力
⇒ どんなユーザーに、どんなコンテンツを作ればいいのか?
・コンテンツの浸透力
⇒ それを適切なユーザーに届けること
現在、媒体社は厳しい状況。これまでメディア全体として顧客と向き合っていたのが、記事単体、一本ごとでデジタルの中で消費されてしまっている。広告の視点にたったときも記事広告一本の値段よりも、ディストリビューションの値段のほうが上になっているケースが増えてきた。
ただやはり、重要なのはコンテンツ。「本質を突いたコンテンツ」は顧客を「創る」ことができる。それをどう可視化していくのか、その必要性がある。
だからこそ、今までのDataSeller型のDMPでも、CRM型でもなく、コンテンツに寄ったDMPの構築を考えている。 (JBプレス 菅原さん)
PVやClickではない指標。もし仮にそれをレポートしないのであれば、何をもって広告主に納得してもらうことができるのか、そんな視点でメニューを考えている。
日本の動画配信、ビジネス環境の課題と将来への挑戦
Speaker:AOLプラットフォームズ橋本さん、T-MEDIAホールディングス櫻井さん、HJホールディングス船越さん
そもそも「動画元年」という実感がない。これからNetflixがやってきたとしてもすぐではない。会員数で動画視聴の成長感を語っている時点でやや違っていて、会員数はプロモーションによってある程度動かすことができるのだから。「月額定額制サービス」だってまだまだ根付いていない。
ただ視聴時間は伸びてきている。スマホ普及が後押しかと思いきや、huluはTVで視聴されている。それもそのはずでテレビ用のコンテンツ、映画用のコンテンツ、それぞれ、どのデバイス(テレビなら家のテレビ、映画は映画館)で見られることを前提に作られており、一番楽しめるデバイスで視聴しているだけのこと。スマホで映画やテレビを見ているのは十二分にそのコンテンツを楽しめていない可能性。
実際にどんなシチュエーションで見ているのかといえば、テレビを見そうな時間帯。つまりテレビを見る時間に面白いもの、興味のあるものがなくて動画で時間を消費している状態。可処分時間の奪い合いをしているだけ。
動画市場の日本特有の課題として、TV⇒動画にスライドするメリットを感じられていない。(だからこそ旧態依然としている部分があるのかな?)一方でユーザ-側も「何が見たいか明確にはわからない」「探すのが大変で見つからない」という状態。
⇒ レコメンドの必要性がほんとうに高い領域である。
Netflixが日本に来ることによって、多くの消費者が動画サービスを認知し、結果としてマーケット全体が活性化するのではないか?まだまだ認知啓発の段階であることを強く感じた。
ユーザーに愛されるオンラインビデオ・コンテンツとは?
Speaker:フジテレビジョン下川さん、ディー・エヌ・エー前田さん、日本テレビ太田さん、スクー森さん
自分は「SHOWROOM」というサービスを知ってはいても、ちゃんと見たことがなかったのですが、回遊を生み出す仕組みや参加する演者に気持よくなってもらう仕掛けが堪らない。日本人は個人を特定されて趣味を見られるのを嫌うし、だからこその匿名性という部分もオーディエンスはアバター化して参加とかなり考えられた作りになっていた。
その「SHOWROOM」が描く未来が、単なる覗き見番組(失礼な言い方になってますね)ではなく、海外を含めて夢を実現したい人への応援したくなる投げ銭的Platformを考えていることに激しく共感。
テレビ番組もSocialの盛り上がりを意識した作りをするようになってきているけど、一方でSocialを意識しすぎたりしてなかなか変革を起こしきれないでいる。そろそろテレビの伝統的なフレームワークを壊して再構築する時期に来たのかも?とのこと。
一方でテレビは1分単位視聴率を見ながら、番組の構成や内容を適宜変更しチューニングし続けている。むしろネットよりも細やかなのかもしれない。
スクーさんも単なるe-ラーニングなだけでなく、ユーザーはここに来れば学べる、企業も必要なスキルを持った人材はスクーから輩出されるという形を作ろうとしている。
こうしてコンテンツをしっかり作っているところにお金が落ちず、「ハコだけサービス」の人たちが儲かる仕組みはどうなのか?という警鐘とともに、コンテンツを作ることのこだわりが感じられた。
テレビ番組なんていうのはその最たるもので、15分のコーナーのために1日を費やし、例えばグルメ番組でお店紹介するときは、お店にお客がしっかり入ってからレポートを始めたりする。これは取材先にも気持ちよく、視聴者もガランとした店内よりもテンションがあがり、とみんなが待っている絵がそこにあるから。だからそこを愚直に作っている。
そういうのをただ集めて楽して儲けようとするのはどうなんでしょうかね。。。
とはいえ、作りこんだからと言って、絶対的なヒットコンテンツを作ることは難しいので、
「サプライヤーの作りたいもの」⇔「ユーザーの見たいもの・求めているもの」
をつなげてそのコンテンツの効果・結果をしっかり検証しながら、昇華させていく必要があるんですよね。
一次取材 VS コピペ編集
Speaker:博報堂ケトル嶋さん、ユーザーベース佐々木さん、マガジンハウス西田さん
嶋さんから大胆な発言が多く飛び出したセッションだった。
「うんこみたいな編集をしている一部のネットメディアについて語りたい」といって始まったが、中身はものすごい本質の話だった。
どこの誰かもわからないような人の編集コンテンツ、それがサクッと他人のコンテンツをかっさらって、PV作ってマネタイズを図ろうとする。何が本質なのか?
食べログのランキングも、もちろん判断の基準がないときなどは重宝するけど、それよりシェフのこだわりとか一時取材だから手に入る情報って、深さが全然違う。
PVを追うことを止めたニュースピックス。DAUでメディアを追い、メディアのブランドを作っていく。だから今の時代と逆行するかのように、Yahoo!などへのコンテンツ提供を行わない姿勢。
話を聞きながら、多くのメディアがPVを追い求め(それはアドネットワークに依存していたり、メディアの成長規模の指標になっていたからなのだが)、各デリバリー系のPlatformに迎合するかのように必死にコンテンツを拾ってもらおうと四苦八苦している状態に一石投じるセッションと感じていた。そんな状態ではコンテンツを作っている一次メディアにファンがつかず、ブランドも出来ず、結局他人の力でマネタイズをしているので未来がしんどい。とはいえ単体メディアで閉じていくのも、ユーザー接点を作りにくい、どうするんだ、これからのメディアは?と問題を投げかけてくれた、と思う。
そこでのヒントは、
西田さんが仰られた「クロワッサンって雑誌がでたときに、みんな『パンじゃねーか』って言っていたが、広がってしまえば大丈夫だった。」という部分なのかも。
ブランドを作るっていうのは、ネーミングから始まっているし、それを社会に浸透させること。コンテンツ単体では浸透も何もない、というかたぶんユーザ-の目にメディアは止まっていない。PV至上主義というかPVによる換金から脱却しないといけない、という意味で、メディアは旧来型のマネタイズから次のステップへ移るタイミングが来たのかもしれません。
2020年、そしてその先、メディアはどう変わっていくのか。
●インターネット情報サイトは有料課金できるのか?
日経電子版も40万人の有料会員、ホリエモン.comも月額1万円払う600名がいる。
※イメージとしては、ユーザーはこんな分布かな?
それぞれにちゃんとしたメリット提供を作れるのか、という話があれば課金はできるのではないか?こうした購読料を取れるメディアが強くなる。それはちゃんとユーザーをつかまえているから。
●スキマ時間の活用が勝負を分ける。
「トイレに入った30秒」「寝る前の15分」「電車の移動中の10分」こうした隙間時間にいかに入り込むか?そう考えると、テレビも動画や雑誌もToo Muchなコンテンツ。WEBサイトもログインをさせたり何かさせると面倒でやりづらい。シームレスにサクサク快適に短時間で摂取できないといけない。
若者はじっと待っていることができない。ストレートプレイの芝居を2時間も黙ってみていられない。だったら自分も参加できる「リアル脱出ゲーム」のようなInteractive性を求める。
●最後に
刺激的に感じたのは、堀江さんが仰った「僕は5年後の世界をイメージして、あえて極端に行動している」という話。自分の想像の限界かもしれないが、2-3年後はイメージできても5年後はあまりイメージできていないのが正直なところかもしれない。堀江さんのイメージが合っている・合っていないという話なのではなく、そこをイメージしながら日々を行動することで、ビジネスチャンスを早くから感じ取れると思う一方で、周りが同じ世界を見えていないから、コミュニケーションが難しいのだとも感じた。
もっと刺激的な話も多かったDay2の各セッションですが、空気感がうまく伝えられないですね。執筆能力高めます。