インターネット広告について考えてみた

インターネット広告市場について、WEB媒体・メディアの人間が考えたことを、とりあえず徒然なるままに書いてみます。

メディアの収益性を左右するActive viewという考え方

 これまでとメディアの広告収益の作り方が大きく変わろうとしているのを、最近つよく感じます。

 

 これまでは「広告表示枠数を増やす」ことで収益を伸ばすメディアが多かったと思います。とくにデスクトップは表示エリアが広いので上部にバナー、右カラムにバナー、記事下にバナー、フッターにバナー、テキストの合間にも広告リンク、と入れられるところには一様に入れているメディアが多かったと思います。

 とくに一時期は収益性が高いとメディア担当者に話題になり、記事下にダブルでバナーを配置するメディアが増えました。

 

たしかにimp量はPVと違って、ある程度まではメディア側のチカラで増やすことはできますから、当時においては有力な施策だったと思います。

 

 ただ、その風向きが変わろうとしています。

 例えばGoogleの管理画面上には、各枠のActive view率が見えるようになり、枠としての価値が可視化されるようになりました。今はまだテスト段階だと思うのですが、Active viewをフィルタにして申し込みができるようになる日が近づいていると思います。またPMPなどのPrivateな取引でも枠位置などの情報も踏まえて、取引が行われるようになってきます。

 こうなると、これまではどの枠に出ているかは関係なく広告表示されていた世界から、ちゃんと見られているものに出稿する、という世界へと変化していき、むしろ余り見られていない枠をもっていることが、メディアにとってマイナスの評価になっていくことになります。

 

 広告主サイドから見れば、ある意味当然の話で、ユーザーから見られてもいない枠に広告が出ていて、そのimpでCPM課金された日には、効果が合わないと思うのも道理です。これをちゃんと制御できるような時代が来ている、という話です。

 

 では、これからはメディアはどうなるのか、というと、コンテンツと同じようにちゃんとユーザーに広告枠が視認されていることが重要になる、ということです。

 ネイティブ広告や動画広告が多くの広告主の興味を引いているのも、このユーザーの視認性という部分への期待が大きいからだと思いますし、事実その視認性は従来のバナー群とは段違いです。

※ヒートマップ系のツールを入れてみると一目瞭然だったりします。 

 

 従来はベストだと思っていたメディアのサイトデザインは、2カラムもしくは3カラムで、右カラムの上部にバナーがあるデザインでした。ただ、Active Viewを見てみると今までのデザインは課題があるのかもしれません。その背景にはスマートフォンユーザーの増加が影響していると思われます。

 スマートフォン縦読みする動きにユーザーが慣れてきたのと、一般的なPCが16:9の比率でディスプレイがあるため、横にデザインが広がったことを受けて、ユーザーが意識して見る目の動きが、本文エリアを縦読みする動きになってきたのだと思います。

 そのため、一部のメディアでは記事本文内にバナー表示されているものや、記事本文タイトルの下に、本文とバナー枠を持つようなサイトが徐々に増えてきました。これはこうしたユーザーの目の動きを意識した、広告配置をいち早く始めているメディアなのだと思われます。

 

 ここからは予測ですが、これからのメディアは、不要な枠を思い切って切り捨てて、本文コンテンツの動きと広告をシームレスに掲載するようになってくるのだと思います。

 ただそれだけだと、広告をうるさく感じてしまうユーザーが増加してしまい、むしろメディア離れが進んでしまいますので、広告の内容と見ているコンテンツの内容とが違和感なく表示できているか、ユーザーにとって有益な関係性のある広告が出ているか、広告表示量は適切かといった視点が重要になって来るのだと思います。

 

 メディアの運営担当者も、これまで定説のように作っていたメディアづくりから、ユーザーの目線の動き、広告主側が見えるようになったレポート内容などを把握して、新しいメディアづくりをする必要があるのかもしれません。